日本人は「朝三暮四」の猿か?
来年度予算案が、何とか年内に確定した。12月27日の日経新聞によると、「恩恵は春から、負担は秋から」とある。
具体的には、「高校授業料無償化」や、「子ども手当」、さらには「高速道路無償化」の実験開始など、家計に優しい政策が4月~6月に予定されている一方、家計に厳しい「たばこ税の値上げ」は10月、「扶養控除の廃止と「特定扶養控除の縮小」が2011年の1月に予定されている。
実施時期の理由は明確だ。7月に控えている参院選である。小沢一郎率いる民主党は、参院選前に、まずは「恩恵」を国民に振る舞うことで票を稼ぎ、政権を磐石にしよう、という算段だろう。
中国に、「朝三暮四」という格言がある。
宋の国に猿好きのおじさんがいて、猿に餌をやっていた。しかし、餌をやりすぎて、おじさんは貧乏になってしまった。そこでおじさんは猿たちにこう言った。「今日からえさは、どんぐりを朝に3つ、日暮れに4つにする。」と。すると、猿たちは餌を減らされて怒っりだした。
そこでおじさんは、「じゃあ、朝に4つ、日暮れに3つならどうだ?」言った。すると、猿たちは喜んで、おとなしくなった。このことから、「目先の違いにとらわれて、全体のことに気づかないこと」や、「知恵のある人が、知恵のない人をまるめこむこと」を、『朝三暮四(ちょうさんぼし)』というようになった。
参考URL)
http://contest2004.thinkquest.jp/tqj2004/70237/t/tyousan.html
7月の参院選も、恩恵だけに眼がくらんで、民主党に投票するものがいるとすれば、彼らはまさに、「朝三暮四」に登場する猿そのものである。
度々指摘しているように、成長戦略なき民主党政権の舵取りによって、「子ども手当をもらったが、失業した」という事態が発生しかねない。同様のことが、「高校授業料無償化」によっても起きようとしている。
12月28日付の読売新聞配信記事によると、「高校授業料無償化」の財源を捻出するため、全国の自治体が来年度中に着工予定だった公立小中学校など約5000棟の耐震化工事の予算が、約63%削減されたという。
これによって、「ボクの授業料は無償になったけど、妹が通っている小学校が地震で倒壊してしまった。」という事態が、大いに懸念されることとなった。
『小中2800棟耐震先送り…高校無償化余波』 12月28日14時49分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091228-00000732-yom-soci
(以前のブログで紹介した)12月10日の名古屋でのイベントで基調講演を行った著名な経済ジャーナリストが、講演の中で指摘した民主党圧勝の最大の要因とは、「国民が享受する恩恵を企業などを栄えさせることによって実現する”間接給付”から、子ども手当や農家への個別補償制度など”直接給付”に切り替えたこと」、と述べた。
度々引用している池田信夫氏のブログによると、民主党のこうした国民への「直接給付」の政策は、ヒトラーの経済政策に驚くほど似通っているという。
「ヒトラーはユダヤ人に代表される大資本を攻撃して弱者のルサンチマンに訴え、短期間に権力を掌握したのだ。彼はメーデーを国民の祝日として労働組合を統合・強化し、「生活に困っている者をまず助ける」という経済政策の原則を掲げた。これは「生活が第一」という民主党と似ているが、類似はそれだけではない。ヒトラーが実施した政策は、次のような徹底したポピュリズムだった。
公共事業で失業問題を解消
中小企業のモラトリアム
老人福祉の大幅な強化
有給休暇や健康診断などの労働者福祉政策
自動車税の減税
母子手当による少子化対策
大規模店舗の規制
高利貸しの追放
価格統制」
参考)
池田信夫Blog 『ヒトラーの経済政策』 2009年12月26日
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51335577.html
ヒトラー率いるナチも、(一部陰謀はあったが)民主主義の手続きにのっとって政権を勝ち取った上で権力を集中させ、ドイツを破滅に導いた。小沢一郎率いる民主党が、”一見”家計に優しい政策を表に掲げて票を稼ぎ、政権を磐石にしてしまうことに、大いなる懸念を抱かないわけにはいかない。
日本国民は、小沢一郎率いる民主党に丸め込まれる猿なのか?7月の参院選で、その真価が問われる。
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