中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

福井県の代表的企業「セーレン」の英断

 今から10年ほど前、仕事の関係で福井県の繊維メーカー「セーレン」に訪問したことがある。独自の染色技術によって精細な画像が染め付けられた、背丈以上の大きな布地を目の当たりにしたことが印象に残っている。

 そんな福井県を代表するメーカーが、受注量の激減によって新入社員に対し、半年間の「自宅研修」を命じた。皮肉にも、4月1日に、同社の川田達男社長が福井商工会議所の新会頭に就任したばかりだという。東証一部に上場し、しかも県庁所在地の商工会議所会頭が率いる企業が、内定取消で新聞沙汰になる訳には行かない。自宅待機の結論を下したのは、苦渋の決断であったに違いない。

 会社を傾ける経営者の中には、いわゆる”地元の名士”も多い。地元の名士は、”地域の目”、”世間の目”を気にしない訳にはいかず、経営状況が厳しいことを外部に知られたくないばかりに支出を減らすことが出来ず、結局経営を傾かせてしまうというケースだ。

 セーレンも、地元の目だけを気にするのであれば、予定通り新入社員を迎え入れるという結論を選択したかもしれない。しかし、事態はそれさえも許されない状況に合ったのだろう。何としてでも今の時期、稼働率を押さえることで余計なキャッシュアウトを抑え、在庫が積みますのを避け、かつ新入社員が路頭に迷わない方法として、新入社員は半年間自宅で研修、その間は給与の6割を支給、という選択肢をとるに至ったと言える。

 当事者である新入社員の、心理的な動揺や不安は計り知れないものがあると思われる。しかし、内定取消ではなく、「自宅研修」である。給与は6割とは言え保証されており、その間勉強して自らを成長させることが出来ることを、チャンスと捉えるしかない。彼ら、彼女らには、同社でがんばり続けるにせよ、そうでないにせよ、『エンプロイアビリティ(employability= 個人の“雇用され得る能力”)』と、『サバイバビリティ(survivability=生き残る力』を、大いに磨いてもらいたいものである。

福井の繊維メーカー、新入社員の7割に「自宅研修」命じる
4月3日13時48分配信 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090401-00000312-mailo-l18

 「東証一部上場の繊維メーカー「セーレン」(福井市)が、1日の入社式直後にグループ会社を含めた新入社員101人のうち、大学院、大学、高等専門学校を卒業した72人に約半年間、自宅研修を命じていたことがわかった。

 同社によると、自宅研修になったのは、セーレンとグループ会社「KBセーレン」(大阪市北区)の生産ライン以外の新入社員。昨年末からの大幅な受注減による生産調整が理由と説明している。

 自宅研修の期間は6日から9月15日までで、資格取得のための通信教育を受講させるなどし、月に2回、集合研修を行う。この間、給料の6割を支給する。

 入社式直後に対象の新入社員に通知した際は、入社辞退の申し出などの混乱はなかったという。」

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