中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

SONY、終わりの始まり?

 かつて竹中平蔵やウシオ電機会長の牛尾治朗氏は、「日本の輸出産業はグローバルな競争にもまれているから強い」、と評していいた。しかし、いわゆる”リーマンショックに端を発する米国発の世界的不況”の波をモロに受け、長らく日本の経済と雇用を支え続けてきた自動車産業と電機産業が収益基盤の脆さを露呈し続けている。

 業績好調の足元で、じわじわと電機のコモディティ化や車離れが着実に進行しつつあった訳だが、マイナスの波が一気に押し寄せた局面に対して、いずれの企業も意外なほどに脆かったことに対し、多くの日本人が戸惑いを隠せないようだ。昨年まで新聞紙面を賑わせていた各社の”最高益更新”は、政策的に進められてきた円安と米国の浪費社会の恩恵を多大に受けていたことによる”上げ底”の企業力であった。

 「”モノづくり大国日本”の復活なくして日本経済の復活なし」、との意見は未だに根強い。野口悠紀雄に言わせれば、「モノづくり幻想が日本経済をダメにする、産業構造の転換が今こそ必要だ」、ということになるのだが、少なくとも、あらゆるものが急速にコモディティ化する現在においては、高い技術力でニッチ市場のオンリーワン企業を目指すか、アップルや任天堂のようにソフト面での”着想力”、”市場創出力”なしに、日本の製造業はグローバル競争で戦って行けないだろう。

 食品分野においては、”国産”が一つのブランドになったといえる位に尊ばれている感があるが、家電分野でこうした”国産”に過度な期待を寄せていたとしたら、それは甘すぎる。それが証拠に、”5万円PC”の代名詞がついたネットブック市場は、もはや台湾メーカーの独壇場だ。2月17日の日経新聞によると、白物家電においてもハイアール、LGなど中韓メーカーが製造する低価格商品の売上高を伸ばしているとのことだ。これは、節約志向の高まりに加え、「顧客が以前ほど国内メーカー製にこだわらなくなった」という潮流も見逃せない。

 このような状況の中、本日SONY中鉢社長の退任とストリンガー会長が社長も兼務することが発表された。

ソニーのストリンガー会長が社長兼務、中鉢氏は退任・副会長に
2月27日22時53分配信 ロイター

ソニー<6758.T>は27日、ハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者)が社長を兼務し、中鉢良治社長が副会長に退く首脳人事を発表した。4月1日付。
 同社は世界的な経済危機の影響で2009年3月期(今期)に1500億円の当期赤字となる見通しで、経営建て直しの最中になる。ストリンガー会長は同日夕方に記者会見し「次のレイヤー(階層)を設ける必要はない」などと社長を兼務する理由を語り、中鉢氏の処遇は更迭色が強いことをにじませた。(後略)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090227-00000385-reu-bus_all

 確かに中鉢氏は、外部から見てもそれまでのSONY社長と比べて存在感に欠けた感は否めない。かと言って、ストリンガー会長の掲げる「エレクトロニクス製品とネットワークとの連携」といったビジョンはいまいちピンと来ない。そもそも、このフレーズは前会長である出井伸之氏が唱え続けており、抽象的な言葉としてもっともらしく聞こえるものの、具体的にどう収益につなげていくのかは不明瞭なままだ。

 これがSONYの”終わりの始まり”にならないか、いや~な予感が漂いまくる、本日のニュースであった。

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