ナベツネ、野球界、ゼロサムゲーム
日経新聞での人気連載シリーズ『私の履歴書』、現在の執筆者はナベツネでおなじみに読売新聞社会長渡辺恒雄氏。話題はエリートコースを渡る筆者の目から見た政局や社内政治などが中心で、感謝や謙虚さがどこにも感じられない彼らしい内容である。
それはさておき、本日は昨年大いに話題になったプロ野球再編について言及してあった。野球協約に精通し、彼なりに野球界を憂うことは理解できた。ただし、その内容はというとオリックスの宮内会長らの悩みを受け止め、パリーグの苦しい経営環境を救うには巨人戦カードをパリーグにも開放してやり、収益面でサポートするしかない、だから1リーグ、そのためにはチームは10チームが良いだろう、というのが彼の持論である。これは先日私が指摘したところの、”ゼロサムゲーム”の発想だ。すなわち限られたピザの分配を変えるだけであり、パリーグチームが少しだけ潤う分、セリーグの既得権が奪われる。だから議論はおのずから平行線となる。
これを解決するには目先のパイを奪い合うのではなく、パイそのものを広げるしかない。東京中心・巨人中心から脱却し、各々の地域に根付いたチーム作りを推進しているホークスやファイターズらの路線は、正しいといえる。やしきたかじんは「東京が一番の情報鎖国だ。」といっているが、野球については正にこれがいえる。特に日本テレビは最悪だ。日本といえば東京、巨人を基準に考えていれば間違いないと思っている。
今後も巨人戦はジリ貧傾向が止まらないのは間違いないが、新聞社・テレビとともに成長したという成功体験が大きいだけに、いい加減目を覚まして間違った意識から脱却することは相当困難だろう。