『民泊』規制緩和でホテル不足は解消するか!?
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旅館業法で規制されている「民泊」が、外国人旅行客急増に伴うホテル不足の解消を図るため、政府で本格的な検討が始まりました。
「民泊」拡大へ規制緩和 政府、実施計画を議論
政府の規制改革会議は5日、2016年6月にまとめる実施計画に向けた議論に着手した。一般の家に客を泊めて料金を取る「民泊」に関する規制を緩和し、外国人観光客の増加による宿泊施設不足に対応する。観光振興を通じた地方創生につなげる。自宅や自分の別荘に有償で人を泊めるには旅館業法の許可を受けて、安全上の設備などを整える必要がある。この規制を緩めて空いている部屋などを有効に活用する「民泊」は今年6月にまとめた実施計画にも盛り込んだ。
(日本経済新聞 Web版 2015/10/5 20:17配信)
残念ながら、「民泊」の規制緩和で、ホテル不足の解消は実現できません。
なぜなら、「民泊」を好む旅行者層とホテル宿泊の旅行者層とは、根本的に異なるからです。
この1~2年、急増している外国人旅行客の国別増加率は下表のとおり。
数・増加率とも、中国人の急増ぶりが際立っています。2015年の1月~9月までの累計人数は384万人、伸び率は114.6%。すなわち、前年比214.6%という急増ぶりです!
出典:日本政府観光局(JNTO) 訪日外客数(2015 年 9 月推計値)
視点を変えて、国別の平均泊数をみると、フランス14.4泊、イギリス13.4泊、アメリカ9.9泊など欧米からの旅行客は平均10泊前後である一方、中国は5.9泊、台湾は5.1泊、韓国は3.5泊と東アジアの国々は平均で5泊前後にとどまっています(日本政府観光局(JNTO 2014年データより)。
しかし、2014年4月に施行された「国家戦略特別区域法施行令」では、「民泊」が認められるためには、「7~10日以上の滞在に限ること」と定められています。
東京オリンピックまでに、滞在期間に関する要件が緩められるかどうか現時点では不明ですが、少なくともこのまま7日以上という要件のままであれば、「民泊」を活用するのは長期滞在の欧米人旅行客に限られ、「爆買い」目的の中国人旅行客の受け皿にはなり得ないでしょう。
結局のところ「ホテル不足」を解消するためには、ホテル増で対処するしかありません。新規のホテル建設という投資を無駄にしないためには、外国人旅行客(特にアジア人旅行客)が、継続的に日本を訪れたくなるよう、官民一体となって取り組むしかないものと思われます。
それでは!
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