中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

菅政権を問う‐3 東国原知事、ついにブチ切れ!

 明日は参院選、しかもまだ口蹄疫は終息していないにもかかわらず、東国原知事の堪忍袋の緒がついに切れてしまった。

 口蹄疫の発生が確認された4月20日から今日まで、国と県の間で様々な衝突があったことは容易に推察される。「国に言いたいことは山ほどあるが、今はガマンの時」と、腹に収めていた東国原知事だが、さすがに今回は我慢ならなかったようだ。

 直接のきっかけとなったのは、終息の兆しが見え始めた7月4日、2週間ぶりに宮崎市口蹄疫の疑似患畜が発見されたことに対する山田正彦農林水産大臣の発言。

 「他県には絶対飛び火させない」、という思いで消毒・防疫に努めてきた宮崎県の人たち。そして「断腸の思い」でワクチン接種を受け入れ、育ててきた家畜の殺処分を受け入れた畜産業者の方々・・・。

 そんな宮崎県の必死の思いをどこまで知ってか知らずか、山田正彦農相は「国家的な封じ込めに対する危機意識が、県に足りないのではないか」と切り捨てた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100707-00000031-san-bus_all

 さらには、貴重な種牛を抱え、頑として殺処分を前提としたワクチン接種を拒否する畜産業者に対して、有無を言わせず「殺処分せよ」という姿勢。

 東国原知事は、高鍋町のこの業者と会談した結果、県保有とすることで、なんとか殺処分を回避できないか、特例措置を国に求めているが、国は殺処分の方針を見直すつもりはないようだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100708-00000032-san-soci

 この件に関しては、心情的なこともさることながら、現在すでに周辺地域は沈静化に向かっている中で(この農場から半径14㎞には一切の畜産がいない状況)、感染拡大防止のための措置であるワクチン接種に、何の意味があるのか、ということも考えなければならない。

 以下、東国原知事のブログから、ポイントを引用しよう。

『国家防疫』 2010.07.09

http://ameblo.jp/higashi-blog/

「新聞等によると山田農水相

 ①「口蹄疫の問題は第一義的には県に責任がある」

 ②「宮崎県は口蹄疫という国家的危機管理に対する意識があまりにもなさすぎる」

 ③「県の甘さがこれだけの被害を生んだと言ってもいいのではないか」

 等の発言をされているらしい。これが本当なら、極めて残念なことである。

 これまで国や自治体等と連携・協力・協働し、口蹄疫対策に全力で取り組んで来ただけに、俄かに信じられない発言である。」

 「そもそも、広域災害や法定伝染病等は国家的危機管理の問題である。それが世界の常識である。広域災害や法定伝染病を地方の責任だという国家がどこにあるだろうか? 口蹄疫対策等も諸外国では、国の食糧管理・国家経済全体に及ぶ・バイオテロ等との関連もあり、国家の責任において対策がなされている。」

 赤松広隆前農相は口蹄疫問題を放ったらかして外遊に出かけた、発生から約1ヶ月経ってようやく国の対k差う本部が県に設置された、といった国としての対策の遅れを棚に上げて、2週間ぶりに疑似患畜が発見されて「県は危機意識が足りない。」とは、よく言えたものである。

 「②の「国家的危機管理に対する県の意識」を言うのであれば、国はどうか? 

 大体、こんな前代未聞の非常事態の中、選挙を強行するという感覚・神経が信じられない。蔓延の主な原因は、人・モノ・車の移動である。選挙ではそれらが最も活発になる。法律的には数週間は延期出来た筈である。

 それでも、慌てて6月24日に公示され、7月4日に新たな発生があった。6月19日以降、新たな発生は無かったのに・・・・・・・・・このお陰で、7月16日に非常事態宣言解除出来る筈が、27日に延びた。

 新たな発生は、別に選挙の所為では無いと信じたいが(感染ルート調査で、もし選挙運動が原因とされたら、一体どうなさるおつもりか?)、人・モノ・車が激しく行き交う選挙で口蹄疫が蔓延しないか? 地元は、戦々恐々とし、毎日生きた心地がしない。

 最も、人・モノ・車が激しく動くとされる明日の投票日が山場である。」

 少なくとも、西都市における飛び火感染は、国が定めた「半径10kmから20㎞を家畜の空白地帯にする」という方針のもと、処分場まで行き交うトラックの移動が増加したことが原因と推測されている。鹿児島県までも震撼させた都城市の飛び火感染も、同様の原因である可能性は高い(と、個人的に思う)。

 そして今回の2週間ぶりの飛び火感染、これが選挙の早期敢行が原因だとすれば(まだ特定はできていない)、危機意識が薄いのはむしろ国の方だという東国原知事の主張はうなずける。

 「大体、薦田氏の家(種雄牛6頭がいる)から半径14km以内には、もう家畜はいない。薦田氏の種雄牛は感染していない(目視検査)のに、今それがどうして「蔓延拡大を防げない止むを得ない状態」なのだろうか?

 状況が刻一刻と変化する中、5月20日前後時点の蔓延状況に遡及して平等に網掛けされるべきという法の指摘を疑問視する必要もあろう。」

 「発生農家さんや周辺住民、県民の皆様、農業関係団体、関係組織、国・県・自治体の職員、隣県や県外から応援を頂いた多くの方々等の賢明・必死の努力・ご尽力によって、口蹄疫は宮崎県から一歩も出ていない。

 このことは高く評価されてしかるべきだと思う。「宮崎県から出ていないのは奇跡である」と多くの専門家の方々も仰っておられる。

 皆様のそんな頑張りに対して、よくそんなことが言えるものだ。呆れる。これまで国とも一体となって頑張って来たのではないのか?」

 このように、自分自身というより宮崎県民への侮辱に対して激しい怒りをぶつけながら、後半では民間保有の種牛の取り扱いの協議に関して、山田正彦農相の行動に疑問をぶつける。

 「ここのところずっと、山田農水相に面会を申し込んでいたが、「会いたくない」と断られていた。「事務方とは会ってもいい」と訳の分からないことを仰るので、農水相が選挙運動・移動途中、事務方がわざわざ何時間もかけて熊本空港まで会いに行った。が、答えはけんもほろろであった。

 大体、こちらが「会いたい・どこへでも行く・話を聞いて頂きたい」と言っているのに、「会わない」というのは、大臣の態度としてどうなのか?」

 このような山田正彦農相の態度に耐えかねて、リスクの高い行動をあえて取った東国原知事。こうした行動には、もちろん慎重な声もあったようだ。

 「県の事務方は、「今後のこともあるので、余り国と対立はしたくない」と言う。当たり前である。出来れば、衝突などは避けたい。だから、穏便に話し合おうとしているのであるが、国(農水相)がそういう態勢・姿勢では無いのだ。

 国と地方は上下主従の関係ではなく、対等協力の関係では無かったのか?

 僕が、国に対して、意見・提言・文句を言ったからといって、今後の復興対策や地域再生の支援が打ち切られたり、削減されたりしたら、その時は、もっと大きな声を上げて行かざるを得ない。もしそういうことがあるなら、あらゆる機会を通じて、国の姿勢を指摘・糾弾・情報公開して行かざるを得ない。」

 上記に述べてあるように、まだ口蹄疫が終息していないこのタイミングで、国を批判することにはリスクがある。しかし、「自重すべし」という思いを抑えきれほど、山田正彦農相の今回の発言や、種牛救済をめぐるやりとりは、腹に据えかねるものであったのだろう(「糾弾」の文字があるくらいだ)。

 ついでながら、菅直人首相に至っては、「就任直後に宮崎県の口蹄(こうてい)疫の現場に出かけました。これを100%とまではいきませんが今、かなり押さえ込むことである程度の成果が生まれつつあると思っております。」

 と、まだ終息していないにもかかわらず、口蹄疫対応を積極的評価の要素に組み入れている。飽きれるほかはない。

菅首相、政権1カ月「合格点いただける」』

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100708-00000595-san-pol

 このブログでも以前書いたとおり、菅首相が宮崎訪問したのはわずか3時間半。夕方には東京に戻って新宿で街頭演説をしている。あの”ポーズだけ”の宮崎訪問を評価してくれとは、彼の口蹄疫問題にたいする認識の度合いがうかがいしれる。

 いずれにしても、これから東国原知事による現政権の批判の度合いを強めることだろう。彼のそんなリスキーな行動に対して民主党政権は、くれぐれも今後の復興対策や地域再生の支援の打ち切りや削減という行動に出ないことを、心から願うばかりである。

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