メディアリテラシーと民主主義
7月24日の日経新聞に、興味深い記事があった。日本経済新聞社は、「経営者緊急アンケート」を実施、「自民党と民主党の主要施策に関してどちらを評価するか」を聞いたところ、主要な8つの政策のうち、7つで自民党の評価が民主党の上回ったという。
自民党が民主党を上回った7項目とは、「財源の手当て・消費税」、「地球温暖化対策」、「外交・安全保障」、「地方分権」、「行政改革」、「高速道路の無料化・低料金化」、そして「年金制度改革」である。グラフを見たところ、「年金制度改革」は僅差であるものの、その他については民主党の2倍以上の差をつけている。一方、「子育て支援」に関しては、民主党が唯一自民党を上回ったものの、得票率は19%と自民党の18%に僅差で上回ったに過ぎず、「どちらとも言えない」が54%と大半を占めている。
経営者たちは、自民党が解散をめぐるドタバタでマニフェストは固まっていないものの、今までの麻生政権の政権運営を冷静に評価する一方、民主党の”バラ色の政策”の実効性に大いに疑問符を投げかけていることが、このアンケート結果から読み取れる。
誌面上で、日本電産の永守重信社長は、両党(実質、民主党)の政策評価として、「財源を考えるとどれも実現が難しい。選挙目当ての人気取りの提案が多すぎる」とのコメントを紹介、曙ブレーキ工業の信元久隆社長は、民主党の政策に対して「共感はするが、責任政党として耐えられるのか」と実現可能性の明確な裏づけを求めている。
まさに、今話題の自民党CMにあるプロポーズ男性の姿そのままだ。
http://www.youtube.com/watch?v=kZpSfahQ--0&feature=related
アンケートに回答した経営者は、いずれも年配の男性(本当に、女性の名前がない。これはこれで問題だが)で、必ずしも庶民や女性の意見を十分に汲み取っているとは言えないかもしれない。また、彼らの全員が優れた知見を有しているとは言い切れない。しかし少なくとも、日々ビジネスという戦場の中で、現実に立ち向かっている経営者である。いかにマスコミがどんなに「政権交代」の空気を作り出そうとも、彼らは、一般庶民よりは空気には流されない冷静な眼を持ち合わせているのは確かだろう。
自民党の細田博之幹事長は、24日のインタビューで、「政治は政局よりも政策で考えるもので、マスコミには責任がある」と、政局中心に報道するマスコミへの不満を述べる一方、「字が読めないとかぶれたとか、役員人事や閣僚人事など同でもいいことだ。しかしみんなその方が面白いんだ。それは国民の程度かもしれない」、とマスコミの報道を無批判に受け入れる大衆への不満を、思わず漏らしてしまった。
首相批判報道は国民に問題?=直後に発言撤回-自民・細田氏
7月24日22時1分配信 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090724-00000229-jij-pol
細田幹事長は即日、「国民の程度かも知れない」と発言したことについて、「真意ではない。誤解を招く表現だった」と発言を謝罪、撤回した。予想通り、マスコミは寄ってたかって細田幹事長のこの発言を叩きにかかっている。当然のことだ。自分たちの報道をそのまま受け止め、素直に受け入れてくれる大衆の存在は、マスコミにとってこれほどありがたいことはない。
かつて、イギリスの元首相チャーチルは、こう言った。「民主主義は最悪の政治形態であると言える。ただし、これまで試されてきたいかなる政治制度を除けば。」
民主主義が最悪の政治形態か否か?日本国民の「メディアリテラシー」はどの程度か?ひとつの答えが8月30日に判明する。
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