トヨタの経営力って一流?
5月8日、トヨタの決算発表がなされ、改めて前期の赤字転落に加え、今期も2期連続赤字は避けられない見通しが明らかにされた。
4月12日のブログに、「直接的な原因は世界的な景況悪化による販売不振と円高による輸出採算性の悪化だが、そもそも短期的な経費削減ではとても追いつかないほど生産能力を増強し、固定費が膨れ上がったということが真因である。」と書いたが、現在トヨタの生産能力は1000万台に対し、今期の生産予定は650万台。実に35%の余剰設備を抱えていることになる。
参考ブログ)自動車産業を支えることは是か? 2009年4月12日 (日)
http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-09f8.html
同日に配信されたロイターの記事によると、渡辺捷昭社長は、「問題や課題を解決する決定度とスピードが十分ではなかったと率直に反省している」と述べる一方で、「今すぐに工場を閉鎖するよりも、もう少し時間を見ながら考えていきたい」ともコメントしている。
「明暗分かれるトヨタとホンダ、過剰生産能力が重荷に」
5月8日21時39分配信 ロイター
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090508-00000039-reu-bus_all
果たしてトヨタの経営陣は、昨年の判断ミスや決断の遅れを、どこまで真摯に受け止めているのか?少なくとも後段のコメントからは、何ら反省しているとは感じられない。工場閉鎖をしない根拠は、「市場は必ず回復する」との確信からだと言う。
トヨタ、逆襲へ忍耐の時 黒字化は来期、工場閉鎖せず
5月9日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090508-00000016-fsi-bus_all
今は、過去の経験則が通じない「非連続」の時代である。「市場は必ず回復する」となどというおめでたい希望的観測を持ったままで、この難局を乗り切れるであろうか?少なくとも現段階では、「車離れが進んでいる」ことを現実として受け止め、いち早く在庫圧縮やコスト削減に取り組んだスズキや、ロシア進出を踏みとどまり、F1撤退をいち早く決断したホンダに軍配が上がっている。
もしかして、クライスラーに続いてGMも破綻することによって、残存者利益を得ようと見込んでいるのであろうか?そのような事態に陥ったら、残存者利益よりもむしろ、さらなる市場の冷え込みが米国経済を襲い、全世界に波及するマイナス要因のほうが大きいのではないだろうか。
過去のブログにも書いたように、そもそもトヨタは、自分のコントロール下にある「カイゼン」には滅法強いが、コントロール下にない不確実な未来に対して、決して鋭い洞察力を働かせることを得意としているとは言い難い。今回の、「もう少し時間を見ながら考えていきたい」などという渡辺社長のコメントは、まさにそんなトヨタの体質を象徴している。
「2期連続どころか3期連続赤字も大いにありうる」、そんな予感を感じさせる、一流(?)企業経営者のコメントであったが、この後を継ぐのは創業家のお坊ちゃま。果たして彼にドラスティックな改革を断行できるのか?判断を誤れば命取りになりかねないご時世である。くれぐれも、日本経済に迷惑をかけないよう、適切な舵取りを期待したいものだ。
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