”減税”が最優先の施策??
昨日、『ポピュリスト(大衆迎合主義者)河村たかしに注意せよ』という、いささか挑戦的な表題で新名古屋市長の河村たかしを批判した。
http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-48b7.html
本日も、TVのニュースを見ていたところ、開口一番「市民税の10%減税」を口にしていた。しかし昨日も指摘したとおり、投票する名古屋市民に取っては非常に耳障りの良い”減税”ではあるが、これが一番の公約として掲げられることには、甚だ疑問が残る。
彼が選挙に当たって掲げたマニフェストには、「日本初の市民税減税をして、市民の生活を支援するとともに消費を刺激する」、とある。しかし、現在社会問題と化しているか貧困にあえいでいる人たちは、そもそもの収入が少なすぎて、減税されたくらいでは楽になるレベルではない。
あしなが育英会のサイトによると、遺児家庭の世帯主が母親の場合、年収の平均は134万円、就職希望の遺児 4割が生活苦で進学を断念していると言う。以下、転載。
「深刻さを増す不況の影響で、遺児家庭は貧困のどん底に追いやられています。1998年には200万円(一般勤労者所得比43.2%)だった遺児の母親の勤労所得が年々減少し、2007年は134万円で一般の3割にまで落ち込んだことが、あしなが育英会の調査で明らかになりました。
また、この春卒業した遺児母子家庭の高校3年生の昨年12月時点での「就職希望」は27.8%で、同時期の全国の高校新卒予定者の平均19.3%(文部科学省調査)の1.4倍。さら就職希望の理由は、「経済的に進学できない」21.0%、「家計を助けるため」19.1%で、計40.1%が「生活苦」が理由で就職を希望しているなど厳しい実態が調査で浮き彫りになりました。」
参考URL) あしなが育英会
http://www.ashinaga.org/index.php
このように、フルタイムで働いても満足な収入が得ることができない家庭においては、減税10%はどこまでの意味を持つのか?はっきり言って焼け石に水であるなのである。こうした格差問題に、彼はどこまで真剣に取り組もうとしているのか?少なくともマニフェストからは何も見えてこない。.
また、名古屋(というか愛知県・中部地域全体、さらには日本全体)の大きな経済的課題と言えば、いかに「トヨタなど輸出産業に依存した産業構造から脱却し、次なる産業の柱を打ち立てるか」であろう。昨年「独り勝ち」から急転直下、全国で最も”派遣切り”を行ったと悪名を着せられた愛知県であるが、その県都としていかに経済を活性化させるか、彼のマニフェストを見ると、そもそもそうした問題意識は微塵も感じられない。
4月5日の中日新聞Webによると、
「■名古屋市経済をいち早く不況から脱出させる
・4大事業はいったん立ち止まり、優先順位など再検討
・市の調達は地元中小企業を優先的に行う
・名古屋高速道路の通行料金を100円値下げ」
とある。
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/ele_mayor/list/200904/CK2009040502000162.html
いずれも市民税10%減税と同様に、庶民受けしそうな話題に言及しているのみで、構造的なところに踏み込んで変革を促す、次世代を担う産業を育成する、と言った発想は見られない。一方で「未利用農地で飼料用、バイオ燃料用作物を栽培」と、今どきの流行ネタを盛り込んでいるが、果たしてバイオ燃料の栽培など、人口が密集した名古屋市が担うべき産業だろうか?
以上を踏まえると、彼が声高に叫ぶ「変革」は、パフォーマンスとしては注目を集めるかもしれないが、その実効性についてはクエスチョンマークがつきまとう。次の時代への変革が求められる中、名古屋市は目立ちたがり屋の首長に振り回され、”失われた4年間”となってしまわないか?不安だらけの船出が、今週から始まった。
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