ワークシェアリングに関する一抹の不安
ここのところ毎日、例外なく報道される”派遣切り”など雇用問題。本日、トヨタグループが軒並み今期の赤字を発表、景気の大幅な悪化に伴い、正社員削減のニュースまで出始めている。行政は臨時職員への採用などで、少しでも雇用情勢の悪化を食い止めようとしているが、あくまで一時的な措置に過ぎない。むしろ、今まで敬遠され人手不足に悩まされていた産業に人材が流れつつあることが、”雇用のミスマッチ”解消の意味でも明るい話題といえるだろう。
雇用問題を解決する処方箋として、ここに来てまた期待が高まっているのが、”ワークシェアリング”である。もちろん、失業にあえぐ人があふれる一方で、正社員はますます長時間労働に苦しむ、といった事態を解消するのであれば、ワークシェアリングは大いに意義あるものと考える。しかし、最終的には需要を創出し、利益を獲得する体質を作り上げなければ、”みんな貧しい”状態に陥ってしまうのではないか、という懸念が残る。
現在、中小企業の支援に携わっている中で決算書を目にする機会が多い。人件費に目を遣ると従業員はおろか経営者でさえも、大企業のサラリーマンから比べたらはるかに少ない報酬でみんな頑張っている。それでも懸命に頑張る姿には感銘を受けるのは確かであるが、中小企業(+農林漁業者)の実態は、まさにワークシェアリングである。
日本の一人当たりGNPは、世界で20位以下、先進国の中では下から数えた方が早い順位だと言う。現在の円高の状況(今までが安すぎた、これが正常値と言う人もいるが)では、ドル換算で相当盛り返したかもしれないが、少なくともワークシェアリングは、守りに入ってますます貧しくなるのではなく、みんなで力を十分に発揮しあい(安心して子供を生み育てられる社会をつくることも大切)、みんなで豊かな(経済的にも、精神的も)社会を作っていく、そのための制度導入であってもらいたい。
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