中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

自由競争は善?

少し前(今でも?)、『自由競争は善』、『規制緩和は善』と全面肯定された風潮があった。価格競争も、激化することは消費者にとって利益をもたらすからよし、と。

さすがにそれを無条件で信じる人はだいぶ少なくなったが、今まさに規制緩和・自由競争のひずみが着実に出つつある。

一昨日、テレビ東京系の番組『カンブリア宮殿』を見ていたら、トコトンまで規制緩和が進み底なしの安売り競争と化した大阪のタクシー業界が話題に取り上げられていた。この番組によると、運転手は手取りを少しでも稼ぐため遠距離の客を奪い合う結果、近距離のお客をはお断り、というケースが増えているらしい。運転手はワーキングプアと化し、一般顧客は不便を感じる。実際に大阪のタクシーを利用したことはないが、恐らくサービスレベルは下がっているだろう。移動時間を快適に過ごしたい、という顧客ニーズに応えるタクシーは減っていることが推測される。さらに言えば、過労による事故の増加も十分に予想される。タクシーは大きな話題にならないが、時々放送される大型トラックや観光バスが引き起こした悲惨な事故も、こうした行過ぎた自由競走の結果だろう。

我々はそろそろ、「安ければ何でもよい」という幻想は捨てたほうがよさそうだ。安心・安全・快適なサービスを受け、かつそうした社会的基盤を維持するためにも、一定のコストをかけることを是とすべきではないか。