中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

新たな需要は「カイゼン」ではなく「革新」から生まれる。

 最近、小型プロジェクターの人気が高まっている。少し前にカシオがA4のノートPC位のプロジェクターを発売し、至るところで目にするようになったが、カシオが目指していた”一人一台プロジェクター”までのムーブメントが起きたとは言いがたい。しかし、今度は違う。小型と言っても、「従来品より少し小さい」というレベルではない。携帯電話並みの小ささ、超小型プロジェクターである。 

 その代表格、Optoma社の「pocket projector PK101」はLEDを光源に採用し、重量はわずが120g、価格も5万円を割っており、従来のプロジェクターから考えると革命的な大きさ・価格だ。 津用差をこれら超小型プロジェクターの登場は、プレゼンや会議におけるプロジェクター使用の頻度をグッと増やし、ビジネスの現場において”プロジェクター一人一台”の時代が到来するかもしれない、そんな期待を抱かせる(ただし、同製品は直接PCにつなぐことは出来ず、むしろiPodとの連携の売りにしているようだ)。

参考URL

http://bcnranking.jp/news/0901/090114_12886.html

http://av.watch.impress.co.jp/docs/20090111/dg109.htm

 従来ジャンルから革命的製品の登場によって市場が大きく広がった例として、古いところではCD(コンパクトディスク)が挙げられる。CDは、そのコンパクトさとクリアな音質によって、レコード市場を大きく拡大させた。同様に、デジカメは①その場で確認できる、②プリンタで印刷できる、③データなので簡単に消去やコピーができる、といった革新的な利便性によってカメラ市場を大きく拡げた。

 最近では、iPODがディスク交換の煩わしさから開放し、その洗練されたデザインと操作性によって、携帯型音楽プレーヤーのデファクトスタンダードとなった。市場は少し小さいが、EDIROL社の高音質録音機R-09の人気爆発によって、他社からも類似製品が続々と発売され、音楽用ICレコーダー(PCMレコーダー)のジャンルが確立した。そして度々このブログでも取り上げている通り、絞り込んだ機能と圧倒的な低価格でネットブック(ミニノート)が昨年大ブームとなったのは周知の通りである。

 いずれも共通しているのが、従来品の延長上ではなく、ユーザーが求めている本質的なニーズに着目し、価格、サイズ、操作性など、あっと驚く「何か」を打ち出すことで、新たなジャンルを切り拓いてきたということである。もはや、従来製品の「カイゼン」程度の製品では、成熟社会に生きる我々消費者の財布の紐は簡単には緩まない。革新性なき製品は、単なる「パイの奪い合い」、「価格競争を中心とした終わりのない消耗戦」に陥ってしまう。

 「景気が悪いからモノが売れない」、そう嘆く前に、ユーザーが求めている「本質的なニーズ」とは何か、それを徹底的に考え抜き、具体的な商品・サービスとして展開する、そこに未来が待っているのではないだろうか。

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