中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

次世代DVD規格は普及するか?

ブルーレイか?HDか?? ハードを売りたいメーカーがコンテンツを売りたい映画会社を巻き込んで、壮絶な規格争いが本格化しつつある。ただし、話題になるのはあくまでこの覇権争いそのものであって、未だソフトの販売シェアは両者合わせてDVDの1%程度に過ぎないらしい。私は、映像にこだわるマニアを除き、消費者の大半は現在そして未来に渡ってDVDから移行することはない、と考えている。理由は以下の通り。

過去の事例として、音声記録メディアであるカセットテープからMD、さらにはiPODへの変遷、そして映像記録メディアであるビデオテープからDVDへの移行への変遷を考察し、DVDから(いわゆる)次世代DVDへの移行があり得るかを考えてゆきたい。

ユーザーが次世代メディアに移行するのは、ユーザーは従来メディアに何らかの不満を抱えており、その不満がハードを買いなおしても次世代メディアで解決するメリットが大きい、と考えたときに起きるものである。それを決定付ける要素は、①巻戻し・早送り時間への不満、②かさばることへの不満、③画質・音質への不満がコアな要素であろう。

テープからMDへの移行については、①~③のいずれの要素も改善し、特に①の巻き戻し・早送り時間が大幅短縮したことが、決め手となったといえるだろう。映像メディアにおけるビデオテープからDVDディスク移行も、カセットテープからMDへの移行と、まったく同様の理由による、と言える。

MDからiPODへの移行については、①と③はさほど変化がない。②について、メディアからハードディスクにしたことでディスクを複数持ち歩いたり入れ替えたりと言う手間がなくなったことが大きいといえる。もちろん、インターネットの普及やPCの性能向上によってネット上からのダウンロードや、ダビング時の時間短縮、自動的に曲名・アーチスト名がデータにつけられるといった要素や、アップル社による洗練されたデザインや操作性も無視できない。ただしこれらはあくまで副次的な要素であり、MDの進化形をSONYが出したにもかかわらず、iPODにスタンダードが移行してしまった本質的な要因は、やはりメディアを持ち歩いたり入替えたりする必要がなくなった、ということだろう。音質という点では、CD-Rへのコピーの方がiPODのmp3よりも上回っているにもかかわらず、あっと言う間にiPODに取って替わられてしまったということが、それを証明している、といえる。

さて、DVDから(いわゆる)次世代DVDについて、①~③の要素を考えて見ると、改善されるのは③のみ、それも(一度体験したら二度とDVDには戻れないとマニアは言うが)、一般消費者にとって画質については劇的な改善とまでは言い難い。iPODに対抗し、東芝やケンウッドなど国内メーカーが音質の優位性を訴えても、iPODのシェアが揺るがないのと同様に、DVDのシェアは揺るがないだろう。ましてや②についてはむしろ大型化し、ハードもソフトも高額化、となるとどんなに画質が良くとも一般消費者はうごかないだろう。

iPODの流れを踏まえると、映像もメディアの入替えしないハードディスクへ保存、という形で落ち着く、と考えるのが自然である。作り手が強化したい・PRしたい機能と、ユーザーが欲する機能とは違うのだということを、メーカー側は今一度よく考える必要があるだろう。

10/23追記 最近、ハイビジョンが見られる液晶TVとプロジェクターを購入した。一度ハイビジョンを体験すると、確かにDVDの画質は粗いことがよくわかった。うーん・・・、プロジェクターで投影した80インチの画面はともかく、20インチの液晶テレビでも結構気になる。こりゃ少なくとも、レンタルでDVDを見る映画ファンを中心に、再生専用デッキで5万円以下の安価な製品が出た場合、結構普及するかも。あ、プレイステーションがあったか。