中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

強いブランドは独自の世界を持つ

ブランドとは?

色んな定義があるが、ALL aboutの記事には、「顧客のアタマのなかに拡がる世界観そのもの」と定義している。強いブランド力を確立することによって、他社商品との単なる価格競争から一歩リードし、競争優位の状態を作り出せる。強いブランドを作り上げるにどうすればよいか?強烈なブランド力を作り上げたといってよいTV番組、料理の鉄人IQサプリトリビアの泉・たけしの平成教育委員会から考えてゆきたい。

1.世の中で確立された価値観から距離を置き、その番組ならではのキャスティングを行う。

  いずれの番組も、そのときの売れっ子タレントを安易に起用しない。

  料理の鉄人 : 舞台俳優鹿賀丈史が司会(?)を務め、(その世界では高名だが)一般には無名な料理人を鉄人と設定。

 IQサプリ : 深夜時代の司会者は、舞台俳優の篠井英介、ゴールデンではやや一般受けを狙って伊東四郎を起用。

 トリビアの泉 : 司会は舞台俳優の高橋克己と矢嶋智人、ゴールデンに移ってから品評会会長としてタモリを起用。

 平成教育委員会 : 今でこそ知的な面も認知されているが当時はその認識も薄かったたビートたけしが校長、そして知的なアナウンサーであった逸見正孝を生徒役に起用。

2.その番組ならではの価値観を構築することで、賞金以上の名誉を勝者に提供する。

  料理の鉄人 : 完全に日常から引き離された、架空の団体「美食アカデミー」で料理バトルが繰り広げられる。勝利者に与えられるのは名誉のみ。

 IQサプリ : クイズに答えに納得できたらスッキリボールを、納得できなかったらもやっとボールを解答者が投げる設定。最高得点者は特に表彰されない。

 トリビアの泉 : トリビア度を測る指数が「へぇ~」。1へぇ~あたりの賞金はわずか1000円。80へぇ~以上だと賞品をもらえるが、賞品はタモリが思いつきたたいしたことがないもの。最高得点は金の脳、MFT(高橋克己のマイ・フェイバリット・トリビア)は銀の脳が進呈される。

平成教育委員会 : 正解すると「たけしおとし」が一段つみあげられる。その週の最優秀生徒に贈呈されるのはブレザー。

3.その番組ならではのパターン化を確立、顧客の期待を裏切らない。

 料理の鉄人 挑戦者が3人の鉄人の中から相手を選ぶ ⇒ テーマが発表される⇒、福井謙二アナの実況中継と服部幸應氏の解説を交え、調理実施 ⇒ 試食。「おいしゅうございます」といった美食家が審査 ⇒ 勝者発表、勝者・敗者が固い握手を交わし終了。

 IQサプリ エンディングは司会者がもやっとボールを頭で受けて終了。

 トリビアの泉 トリビアが発表され、解説VTRを経て審査員による採点(へぇ~ボタンを押す)、さらに八嶋氏による解説の復唱(さらにへぇ~と思ったら加点される)、高橋克己の一言がワンパック。

 たけしの平成教育委員会 学校と同じように、全員起立・礼で始まり、一時間目国語、二時間目算数、といったように本当の授業のように進行する。最後も起立・礼で終る。生徒はどんな偉い人でも「くん」づけで呼ばれる。

以上、一通り見てゆくと、いずれの番組も世間一般の流行や価値観から一歩距離を置き、独自の世界観に基づき細部まで積み上げられているのがわかる(ただし、ゴールデン移行時や番組後半期などは、普通の番組的なつくりに移行し、結果根強いファンの離反を招き番組が終了してゆく、といった運命をたどる)。

いずれもフジテレビの番組であるが、一時期視聴率No.1を日テレに奪われていたが、それでもCMによる収入はフジテレビが圧倒的であったという。これもフジテレビの番組がもつブランド力に拠るものだろう。