どうなる!? オリンパスのデジカメ部門
英国人CEOの解任から端を発したこの騒動、過去には不正を指摘した監査法人を解約するなど、「臭いものに蓋」をする同社の企業体質が大きな失望を呼んでいる。
かくいう私も、初めて買ったデジタル一眼がオリンパス製(E-620)で、最近使用頻度も増えつつあっただけに、その生みの親がこんな状態となってしまい、非常に残念に感じている。
今後は、菊川剛前社長を始めとした旧・現経営陣の責任がどう問われていくかなるかに注目が集まる一方で、オリンパスそのものがどうなるかも気になるところである。
少なくとも、12月14日までに中間決算が公表できなければ上場廃止、企業イメージの毀損と資金調達力の低下によって、大幅なリストラを余儀なくされることは間違いない。
本日の日経新聞によると、主力事業である内視鏡事業が高い収益性(営業利益693億円)を誇る一方、次なる収益の柱を模索しようと手を出した「新事業」の100社はほとんどが赤字だという。
中には、ペット向けサービス会社やDVD製作会社など本業と関連性が薄い事業も少なくなく、「売上高1兆円」を目指した菊川剛前社長の「売上至上主義」がマイナスに作用していたのは間違いない。
これら本業との関連が薄く収益が見込めない事業がリストラの対象となるのは間違いない。気になるのは、年間150億円の赤字を出しているデジカメ部門である。
デジカメ事業は、コンパクトデジカメのコモディティ化(低価格化・普及化)が激しく、デジタル一眼で収益を稼げない企業は軒並み赤字である。
例えば、日本国内でのコンパクトデジカメで高いシェアを誇るカシオは、デジタル一眼の機種を有していないゆえに赤字。
「カシオ計算機(6952) デジカメの赤字収束シナリオなど未だ光は見えず。」
http://www.nsjournal.jp/news/news_detail.php?id=273843
今年10月には、HOYAがデジカメブランド「PENTAX」をリコーに売却して話題になった。
http://www.pentax.jp/japan/index.html
デジタル一眼市場は、キヤノン・ニコンの2強に加え、ソニーやパナソニックといった家電メーカーが参入、ミラーレス一眼「PEN」がヒットしているとはいえ、オリンパスが置かれている状況は、PENTAXに酷似している。
ただでさえ厳しい経営環境の中で、今回のこの騒動。
オリンパスのブランドイメージは著しく毀損し、デジカメ部門の赤字幅はますます広がってしまうことが懸念される。
新たな経営陣の下で聖域なきリストラを迫られた場合、HOYA同様デジカメ部門を強化したい競合他社に売却、という経営判断を行う可能性は、決してゼロではないだろう。
もしかして、着々とデジカメ市場でのシェアを拡大しつつあるサムスン電子(2010年の世界シェアは10%を突破!)あたりが、触手を伸ばしてくるかもしれない。
参考)2010年4月18日 (日) サムスン電子のデジタル一眼は脅威か?
http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-848c.html
さらに先を見据えると、5年後のオリンパスを占う上で参考となるのが、コニカミノルタ社。
同社は2006年にソニーにカメラ事業を売却、現在は複写機・プリンタ等のオフィス用品、レンズ、ガラス基板・液晶用フィルム等の電子材料などを主力商品として製造販売している。
カメラ事業の撤退からわずか5年。同社の最近の悩みは、新卒採用時における自社の知名度の低さだという。
最近見たニュースによると、同社は知名度の低さを補うため、Facebookページを積極活用しているとのこと。
http://ja-jp.facebook.com/konicaminolta.saiyo
オリンパスは、エンドユーザー向け商品を手掛けていると得られる「知名度」を、どこまで価値として重要視するか?
そうした意味合いからも、同社における今後のデジカメ部門の取扱いについて、大いに注目してゆきたい。
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