買う立場になって「横浜ベイスターズ譲渡問題」を考えてみる。
セ・パ両リーグのペナントレースもようやく終わりに近づき(というかまだやっていたの?)、あさってにはドラフト会議が開催される。
来シーズンに向け、各球団とも動きが活発な中、まだスタートラインに立てない球団がある。
そう、TBSが譲渡先企業を模索している「横浜ベイスターズ」である。
報道を見る限り、「モバゲー」を運営するDeNA(ディーエヌエー)に絞り込まれつつあるようだが、オーナー会議では反対の球団があり、このまま”すんなり”とはいきそうにない(同じくネット系企業の楽天が反対の急先鋒であるのが奇妙な構図だ)。
こうした球界のゴタゴタに対し、マスコミが好んでインタビューするのは、読売新聞社会長の渡邉恒夫氏(ナベツネ)だ。
彼の希望としては、新興企業ではなく「本当は松下とかソニーとか日立とか、ああいう安定した一流企業が(球団を)持ってくれるのがいちばん望ましいがね。そうでなけりゃ、朝日新聞だよ」、とのこと。
http://www.sanspo.com/baseball/news/111001/bsa1110010502001-n1.htm
しかし、十分に知名度があり、かつ財務的に余裕がなくなってきつつある、これら有名どころ企業が手を挙げることは考えにくい。
残念ながら、「プロ野球球団」という商品は、これから一般大衆に対して知名度を上げたい新興企業を除き、保有するメリットはなくなりつつある。
しかし、渡邉恒夫氏やDeNAに難色を示している他球団オーナーの中には、まだまだ「プロ野球球団を買うのは企業の取っては名誉なこと、球団を持ちたい企業はたくさんいる」という認識でいるのではないだろうか(これを「昭和脳」)というらしい)。
最近オーナーが代わった球団は、ソフトバンクに楽天。拒絶されたのがライブドアで、今回はDeNAと、いずれもIT系・ネット系の企業ばかりである(日本の産業界の新陳代謝のなさを象徴しているようだ)。
今後もこれらIT系・ネット系の新興企業が球団保有に手を挙げた場合、元オーナー陣はこれからも難色を示し続けるのであろうか?
いずれにしても、「プロ野球球団」という商品は、「売ってやる」といった殿様商売は成り立たなくなってきていることは間違いない。
自分の置かれている市場が、「売り手市場」か「買い手市場」か、それを見極めたうえで企業経営を行うことの重要さを、「横浜ベイスターズ」譲渡問題は教えてくれる格好の材料となるだろう。
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