グーグルも基本は”売上=客数×客単価”
一昨日に続いて、グーグルに関する書籍を読んだ。その名もズバリ、『Googleの正体』。
『アップル、グーグル、マイクロソフト』の著書でも書いてある通り、グーグルのDNAはとにかく「情報を収集し、整理すること」。その先で、一体何をしたいのか、何ゆえあらゆるサービス(グーグルMAP、グーグルアース、そしてOSのクロームなど)を無償提供し続けるのか、いずれの著者も図りかねているところに、グーグルの企業としてのユニークさがある。
参考ブログ) 『アップル、グーグル、マイクロソフト』 2010年4月29日 (木)
http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-8b4f.html
少なくとも確実にいえるのは、グーグルの主たる収益源は広告収入であること。その収入によって新たな投資を行い、Web上のあらゆる情報を収集し整理するという目的を、追究し続けるのがグーグルの姿である。
そのように、今までの常識の範疇に収まらないグーグルであるが、広告収入によって「売上=客数×客単価」の最大化を図っている、という角度で見れば、その戦略はシンプルであることがわかる。
グーグルが最大化を狙っているのは「客数」である。「客単価」、すなわち検索エンジン連動広告であるアドワーズの単価は、実に微々たる物だ。「ロングテール」という言葉はアマゾンの専売特許のように言われているが、商品の品揃えではなく、広告料金の徴収という面で、グーグルは「ロングテール」を実現している。
つまり、テレビCMなどには手が出せない中小、零細企業が投じることが可能な単価設定を行い、幅広く広告主の獲得を実現していると言える。まさにこれが「ロングテール」である。
そして、「客数」は「顧客数×来店頻度」に分解されるが、グーグルは、いずれも爆発的増加を見込んだ戦略を採用していることがわかる。
まずは顧客数であるが、顧客数とはハード(端末)保有者の増加を意味する。ここで期待されるのは、当然途上国のいわゆる「ボリュームゾーン」。彼らの手にPCが広く行き渡るのは、マイクロソフトのWindowsやOfficeを搭載しては高すぎる。そこで、無料OS「クローム」であり、無料のオフィスソフトの登場、という訳である。
そして、「来店頻度」を高めるための戦略は、「携帯端末」を普及させること。デスクトップであれば、自ずから端末に向かう時間は限られてくる。携帯端末であれば、外出先での電車待ちから信号待ち、カフェやレストランなど、あらゆる空き時間での閲覧が可能となる。接触時間が増えれば増えるほど、検索回数も、そして連動型広告へのクリック数も増える、という訳である。
このようにグーグルの戦略を見ていくと、ものの見事に我々(自分も含む)は、グーグルの狙い通りに、「クラウド」に情報をアップロードし、「携帯端末」でその接触回数を増やしていっている。少々悔しい気もするが、興味深くもあるので、しばらくはこの「化け物」企業と深く付き合ってみるとするか。
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