中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

3Dテレビはキャズム(溝)を越えられるか?

 本日、家電店でパナソニックの3Dテレビを体験してきた。確かに、立体的に見えることに新鮮な驚きを感じた。しかし、これが本格的に普及するかどうか、甚だ疑問だ。

 中長期的に見ても、3Dテレビは「イノベーター理論」の言うところの「イノベーター(革新者)」のみ購入し、「アーリーアダプター」はおろか、キャズム(溝)を越えて「アーリーマジョリティ」に普及することはまずあるまい。

参考)イノベーター理論とは

http://www.jmrlsi.co.jp/mdb/yougo/my02/my0219.html

 「何事も、普及には時間がかかる」という意見もあろうが、ハイビジョンテレビやブルーレイがジワジワ普及するようにはいかないだろう。

 しかし、マスコミや家電業界からは、「今年は3D元年!」と鼻息が荒い。なぜこんなに盛り上っているかというと、ひとえに通常のハイビジョンテレビの単価下落が激しく、次なる「ドル箱市場」誕生への期待感として、「3Dテレビ」に注力しているものと思われる。

 「3Dテレビはほとんど普及しない」という、私が考える根拠は下記の通りである。

・3Dテレビは家族で見るのに適しない

 今後の技術の進歩はあるだろうが、3Dテレビは基本的に「正面」から見ることを推奨している。となると正面から見ることが出来るのは1名、せいぜい2名だろう。大画面ほど3Dが活きるというのに、少人数しか堪能できないのはキツイ。

 ネットで画像を拾ったが、家族で見ると、こんな感じ?

 Photo

・3Dテレビは「ながら視聴」に向かない。

 大多数の人々は、余程のことがない限り、「食事をしながら」や、「雑誌・新聞を読みながら」など、「ながら視聴」が日常である。「テレビ視聴に専念」というシチュエーションは、映画などの限られたコンテンツだけだろう。

しかも、今のところ3Dメガネはサングラスタイプ。どうやってもやや暗く見えるので、画面の鮮やかさも損なわれ、TV視聴以外の行動にも支障をきたす。

・ソフト(コンテンツ)が非常に限定的

 ブルーレイでもなかなか普及しないのは、DVDに比べてまだまだ圧倒的にソフトウェアの数が少ないからだ。ましてや3Dとなると、映画などのコンテンツや通常のテレビ番組でも、ごく限られる。このため、「3Dテレビを買ったが、見るのは2Dのコンテンツのみ」という状態が強いられることが予想される(もっとも、ソニーなどは2Dコンテンツを”擬似3D”にする技術開発をするらしいが)。

 過去のブログにも書いたが、テレビ局(というより番組制作会社とその下請け)は、ハイビジョン対応だけでも資金的にキツく、スポーツ番組など一部を除いて3Dの番組制作はとてもムリだろう。

・初めは新鮮だが、そのうち飽きる

 精細なハイビジョンのコンテンツを堪能すると、DVDのスタンダード画面の粗さが物足りなくなってくる。私も最近、ブルーレイのソフトを続々購入しているが、余程のことがない限りDVDは購入しないつもりだ。

 しかし、果たして同様に「3D画面を一度堪能したら、2D画面はものなりなくなる」ということになるのか?むしろ、「初めは新鮮に感じるが、そのうち飽きる」ということにならないだろうか。

・すでに、大型テレビを買ってしまったので、今さら要らない。

 最近の新聞で、「エコポイントで大型テレビを購入したので、もう要らない」、という声が載っていた。3Dテレビは大画面が基本だろう。すでに、過半の世帯で地デジ対応のハイビジョンテレビが導入されている。あとの世帯は、「金銭的理由でテレビの買い替えできない」という層がかなりいるはず。彼らが割高な3Dテレビを買うということは考えにくい。

 と、いった感じで否定的な見解ばかり述べてきたが、テレビが「お茶の間の王様」という時代が過ぎ去ったことを思えば、いたし方あるまい(そもそも”お茶の間”という言葉が死語だ)。

 それよりもむしろ、PCから「iPhone」を始めとしたスマートフォン、さらにはiPadなど新たなガジェットの先に、市場は広がっているのではないだろうか。

 私も6月からスマートフォン(HTC Desire X06HT)ユーザー(本日某家電店で予約したら、「納品は6月になりそう」とのこと)。そこから広がる新たな世界を、楽しみに待ちたい。

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