「元官僚」で「脱官僚」?
10月20日、民主党や郵政改革担当の亀井静香の圧力によって、日本郵政の西川善文社長が辞任を表明、翌日には早々に後任社長として元大蔵省事務次官の斎藤次郎氏の内定が決まり、「天下りではないか」との批判が高まっている。
今回の日本郵政をめぐるゴタゴタについては、「天下り」批判にとどまらず、政府(財務省)が100%株主とはいえ一民間企業に対し、政府の不当なまでに介入してきていることに批判が高まっている(これは、鳩山邦夫総務相時代から言えることだが)。
そもそも、日本郵政株式会社は、会社法の規定による委員会設置会社であり、取締役の選任に当たっては、指名委員会が決議して決定するものである。さらに、この指名委員会の決定に対し、総務大臣が瑕疵無く開催されたかどうかを審査し、瑕疵がなければ認可を行う、というのが、会社法の規定するプロセスである。
次期社長人事については、(小沢一郎の意向も反映しているとの噂も取りざたされたが)亀井郵政担当相の独断であり、西川善文社長はもちろんのこと、指名委員会のメンバーである奥田碩委員長(トヨタ自動車取締役相談役) 、牛尾治朗社外取締役(ウシオ電機会長) 、丹羽宇一郎社外取締役(伊藤忠会長)の意向が、反映されているという情報は、まったく聞こえてこない。
会社法の手続きに則るとすれば、指名委員会が開催され、斎藤氏の次期社長就任が可決または否決されるとのことだが、郵政民営化に逆行するこの社長人事を、果たして現指名委員会のメンバーは承認するだろうか? もし否決された場合、株主である財務省は、指名委員らの処遇をどのようにするつもりであろうか?
昨日の日経新聞によると経済界からは、ここまで日本郵政に対し国家の介入が続いたことに対し、「この先、人材を出してくれといわれても協力は難しくなる」との不満が出てきているようだ。
「脱官僚依存」を掲げた民主党だが、「官僚依存」を脱するためには、民間の有能な人材を活用することが不可欠である。それとも、今回の斎藤氏起用の際に詭弁を弄したように、「元官僚」を起用することで「脱官僚依存」を実現しようというのだろうか?
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