中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

国の出先機関は、擬似「道州制」!?

 16日の政権発足後、「裏マニフェスト」の実行力あふれる民主党に、また新たな動きがあった。「戸籍制度の廃止をめざす議員連盟が、民主党の有志議員約30人により10月に発足」、「呼びかけ人は川上義博氏、松本龍氏ら。個人を単位とした登録制度をつくるため、戸籍法の廃止も含む見直しを提案している、とのことだ。

ttp://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090920AT3S1901019092009.html

 個人単位の戸籍と言う事になれば「結婚による入籍」など要らなくなって、当然夫婦別姓、子供も別姓と言う事になり、「家族制度」そのものを破壊しかねない。実現までには紆余曲折があるだろが、少なくとも国民生活を根本的に変えることになるであろう、こういった制度改革(改悪?)は、大々的に報道し、国民的に議論を重ねた上で、最終的にはマニフェストに掲げた上で、しっかりと国民を信を問ってもらいたいものだ。

 それはさておき、民主党の「表マニフェスト」に明記されていた「国の出先機関の原則廃止」について、原口一博総務相が18日に記者団に対して改めて明言したことで、実行に向けた本格的な議論が始まった。

 確かに、伊藤忠会長の丹羽宇一郎氏が委員長を務める地方分権改革推進委員会が提言したとおり、地方自治体と仕事が重なる箇所の「ムダ」を省くことは確かに必要だろう。しかし、「国の出先機関」廃止後の、「この国のかたち」を明確にすることなく、単に廃止だけが先行してしまうのは、いかがなものかと考える。

 仕事がら、中部経済産業局や東海農政局の方々と接する機会が多いが、愛知・岐阜・三重とバラバラで動くよりも、この3県が一体となった「中部地方」として、施策やイベントを・実行したり情報を共有した方が、スムーズに行くと感じることが多々ある。

 これが、各県バラバラで動いた場合、確かに「国と地方の二重行政」は解消されるかもしれないが、各県で動きがかぶる二重行政が、ますます頻発してしまうのではないだろうか(今ですら、飛行場が各県でつくられたりしているというのに)。各県が連帯して事業を推進すべき事柄があった場合、国の出先機関が取りまとめ役になることでスムーズにことが進む、というメリットも多いのではないだろうか。

 中部地方は、名古屋市を中心とした一極経済圏だからまだましかもしれない。他地方では、そこまで政令指定都市の求心力があるわけではないので、中部地方にも増して、各県それぞれが「県」という行政区で事業が推進されることによって、地方自治体間での二重行政の増加が懸念される。

 そこで考えるべき「この国のかたち」として真っ先の思い浮かぶのが、「道州制」である。先の選挙で、自民党は、「道州制基本法を早期に制定し、基本法制定後6~8年を目途に導入する」とマニフェストに明記したが、民主党マニフェストに「道州制」の表記は見当たらない。

 「この国のかたち」を明確化することなく、「ムダの抑制」だけに着目して「国の出先機関廃止」を推進するのは、「ダイエット後の自分のカラダ」を設定することなく、ただカロリー摂取量を減らすことに等しい。今の日本行政は、確かにメタボ体質かもしれない。しかし、ムダを排除することに目を奪われて、健康体を損ねてしまわないか?今後の民主党の舵取りを、注視していきたいものだ。

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