中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

平成18年二次試験 事例Ⅲ

引き続き、事例Ⅲ。国内で低コスト・短納期でめっき加工を行う中小メーカーのお話。受験校によっては”めっき加工”が馴染みがないから苦労した受験生も多いのでは、といったコメントが見受けられましたが、経験のない業界であっても経営の本質から的確に分析・判断する事が経営コンサルタントの真骨頂だと思うのですが、やはり皆さん苦労したのでしょうか?

第一問

(1)全自動ラインの導入によって低コストと短納期を実現したこと。

(2)得意先を開拓し、特定企業の依存度を下げ収益面を改善したこと。

・・・(1)に”亜鉛めっきに絞った単一加工”という面も盛り込めばよかった。ただ、2点挙げよ、と言う場合はそれぞれ別の角度から延べるのが鉄則であるので、生産面と販売面で記述したので良しとしよう。

第2問 プラスの影響としては売上高の増加が期待できる。一方マイナスの影響として、①特定企業への売上高依存度が高まり、当該企業の経営方針や業績に左右される、②さらなるコストダウン要請が高まる、といったリスクが増大する。

・・・単に”影響”とあったので、マイナスのみが思い浮かべがちですが、あえてプラスも盛り込んでみました。本日読んだ本(製造業崩壊 苦悩する工場とワーキングプア)にも、特定企業に依存する危険性が生々しく書いてありました。

第3問 強みである低コスト化と短納期のさらなる強化を図るべきである。具体的には①手作業工程の効率化を図る、②納品された加工品を即日ライン投入し、3日以内の納期100%を実現し、取引先企業の取引維持・拡大を図ってゆくべきである。

・・・ 環境技術対応は第4問で述べるので、ここでは生産面の改善についての記述しました。”3割は納期が4日以上かかっている”について、クレームまで至っていないから特に問題なし、という意見もありましたが、自分としては短納期に磨きをかけることが競争力強化に繋がると判断しました。

第4問 環境配慮型企業への転換を図り、さらなる取引拡大に向け、早急に技術開発体制の強化を図ってゆくべきである。具体的には技術開発人員を専任とし組織として独立させ必要に応じて増員を図るとともに、公的試験研究機関との連携を強化してゆくべきである。

・・・ あまり特殊なことや専門用語は用いず、まずは兼任を専任に、そして組織化することが要諦と考えました。組織を変えるということは、経営者の意思表示として、一番はっきり伝えられる手段であると考えたからです。

第5問 ①各納入先と本社工場および地方工場までの住所を登録する。②本社に集約されている受注書をデータ化すると。③各工場の人員負荷状況や生産スケジュール、原材料在庫情報を管理することで最適な生産場所の割り振りを行う。

・・・ 本社と地方工場間が80kmということで、どちらで加工するかの判断材料の基礎として住所と記述しました。もっと突っ込んで、両工場までの”所要時間”と書けばよかったかな?人員状況に加え、”めっき液”なるものがあるとあったので、これらの在庫状況が判らなければ納品したはよいが滞留がありうるのでは、と考えました。